プレミアプロを使ったノイズ除去の方法を紹介します。
割と簡単な操作でも、結構なノイズが取り除けたり会話を聞き取りやすくできるので、ぜひ試してみてください。
プレミアプロ【エッセンシャルサウンド】を使ったノイズ除去・方法
まず前提ですが、音の調整は奥が深すぎて、マニアや職人でないと理解するのは困難です。
沼にどっぷりつかる覚悟のない方は、「ほどほどのノイズ除去や音響設定までしかしない!」と割り切っておくほうが幸せです。
プレミアプロでは、「エッセンシャルサウンド」 のパラメータだけをなんとなく弄れれば充分です。
エッセンシャルサウンドとは?
エッセンシャルサウンドとは、複数のオーディオエフェクトを統合&簡略化したコントロールパネルです。
いくつかのプリセットと、数個のパラメータを設定するだけで、かなりいい感じに音を調整してくれます。
音に対する個別の知識もなく直感的に操作できるのが特徴です。
エッセンシャルサウンドでノイズを除去する方法
エッセンシャルサウンドを使ってノイズ除去する方法は次の通りです。
【エッセンシャルサウンド:ノイズ除去のやり方】
- エッセンシャルサウンドパネル > 編集 を選択。
- 「オーディオタイプ」から「会話」を選択。
- プリセットから「録音した環境に近いもの」をプルダウンで選ぶ。
※会話以外のノイズを取りたいときは「ノイズの多い会話のクリーンアップ」がおすすめ。
デフォルトは「ラウドネス」と「修復」にチェックが入っただけの状態ですが、そのままでも大幅にノイズが減らせます。
エッセンシャルサウンドの操作パネルでできること
エッセンシャルサウンドパネルは、オーディオタイプを選ぶだけで必要なエフェクトを一括表示してくれる便利なパネルです。
エッセンシャルサウンド内の調整はシンプル操作のみなので、直感的に操作できるのも特徴です。
【エッセンシャルサウンドで調整できるエフェクト】
- ラウドネス
- 修復
- 明瞭度
- クリエイティブ
- クリップボリューム
- デュレーション
- ダッキング
- パン
- ステレオ幅
今回はノイズ除去がテーマなので、オーディオタイプ「会話」に割り当てられているエフェクトを中心に解説していきます。
エッセンシャルサウンドの使い方. ラウドネス
小さい音と大きい音が多数混在した音源の場合、チェック&自動調整することで聞きやすくなります。
【ラウドネスとは?】
人間の聴覚は、特性上 小さい音ほど 高音と低音を聞き取りにくくなります。
(例)
- ドラマで流れる小さい会話が聞き取りにくいから音量を上げてると、CMに切り替わったときだけ「音量が大きく」てボリューム下げる…とか。
ラウドネスとは、低dbの高音・低音を調整して、実際の音量と実際の聞こえ方の差を無くすエフェクトです。
高音・低音部分のdbが上がるので、人間の会話も聞き取りやすくなります。
エッセンシャルサウンドの使い方. 修復
ノイズと呼ばれる不快音の除去は主に修復で行います。
おすすめは「ノイズの軽減」・「雑音の軽減」で、チェックを入れるだけでもノイズを大幅に減らせます。
◎ノイズを軽減(クロノマイズ除去)
- ノイズの量を調整するパラメータ。
- 値を大きくするほどノイズは減るが、音声なども潰れる可能性がある。
- 音質への影響が大きいエフェクトなので、上げ過ぎると不自然な印象に。
◎雑音を軽減(FFTフィルター)
- 不自然な雑音をマイルドにするパラメータ。
- 風きり音・雑踏などに有効。
◎ハムノイズ音を除去(DeHummer)
- ハムノイズとは、電気製品の周波数が重なって生まれる「ブーン」といった低い音のこと。
- 器械的な低音ノイズはコレで除去できることが多い。
◎歯擦音を除去(DeEsser)
- 歯擦音とは、サ行のように発声の後に残る耳障りな空気音のこと。
- 人によってはカナリ耳障りなこともあるので、このエフェクトで除去することストレスのない発声に出来る。
- ただし、除去し過ぎると不自然(人間っぽくなくなる)になるので除去し過ぎには要注意。
◎リバーブを低減(リバーブ)
- リバーブは反響音の設定。
- エコー的な表現を強くすることもできるし、反響音が耳障りな時に軽減することもできる。
- ココで設定するより、「クリエイティブ」覧のリバーブの方がプリセットで選べる。
エッセンシャルサウンドの使い方. 明瞭度
周波数帯域別の音の強さを調整する項目。
会話を引き立てるためのノイズ除去なら、「EQ」にチェックして、適当なプリセットを選ぶだけで充分。
◎ダイナミック(ダイナミックレンジ)
- ダイナミックレンジの設定項目。
- ダイナミックレンジとはdbの最小と最大の比率のコトで、値が大きくなるほどメリハリのある音になる。
- 値を小さくすると平坦で滑らかな音になる。
◎EQ(イコライザ―)
- イコライザ―の設定項目。
- 強調したい周波数帯域を絞り込んで、狙った音域を聞きやすくする設定。例えば人間の声は500hz~1000hz。
- 手動で細かく設定することもできますが、エッセンシャルサウンドはプリセットを選択するだけで簡単に設定できます。
クリエイティブ
エコーのような反響音をコントロールしたいときにチェックします。
◎リバーブ
- リバーブは反響音の設定。
- エコー的な表現を強くすることもできるし、反響音が耳障りな時に軽減することもできる。
エッセンシャルサウンドの使い方. クリップボリューム
クリップボリュームはクリップ単体のボリューム設定です。
前後のクリップとの音量バランスをとることで、ムービー全体の聞き取りやすさを調整します。
エッセンシャルサウンドの基本設定
音声をクリアにする、ノイズ軽減におすすめの基本設定は次の通りです。
【エッセンシャルサウンドのおすすめ設定】
- オーディオタイプ:会話。
- プリセット:ノイズの多い対話のクリーンアップ(シーンに応じて選択する)。
- ラウドネス:チェック&自動一致。
- 修復:ノイズを軽減・雑音を軽減にチェック。
- 明瞭度:EQにチェックし、プリセットで最も際立たせたい音源を選択。
各項目のパラメータは、基本初期値(チェック入れるだけ)でもそこそこ良いです。
余裕のある方は、実際にムービーを聞きながらパラメータを変更してみてください。
個人的に思うことですが、音響は弄り過ぎない方が上手くいきます。
値を減らす分には良いですが、値を増やすときは少しずつやるのがおすすめです。
弄り過ぎて良く分からなくなったら、「オーディオタイプをクリア」をクリックするとエッセンシャルサウンドに入力した項目を全てリセットできます。
音・声をクリアにするノイズ除去の仕組みと妥協点
音源から特定の音だけを切り取ることはできない
通常、録音された音源には「声」・「車」・「風」・「機械音」といった音データが分離・格納されてるわけじゃなくて、全ての音が融合した音波情報になってます。
そもそも「雑音」という音源があるわけじゃないので、都合よく切り離すのは物理的に難しく、ノイズ除去と呼ばれる音加工は以下の方法を取っているのが一般的です。
- 音域の差を小さくして聞き取りやすくする。
- 特定周波帯域の音量を上げる。
- 特定周波帯域の音量を下げる。
- 反響効果を調整する。
ノイズ除去の妥協点
ノイズ除去とは音の変質・加工を行うことで、文字通りノイズを取り除いているわけではない点が重要です。
つまり、弄れば弄るほど音源全体が変質するので、音加工は必要最低限にするのが鉄則と言えます。
ノイズ除去は万能ではないですし、妥協点(目標)は自分が思うより浅めに設定するのがおすすめです。
プレミアプロ【クロマノイズ除去】を使ったノイズ除去・方法
クロノマイズ除去は、「エッセンシャルサウンド>ノイズを軽減」で連動*するエフェクトです。
*エッセンシャルサウンドでチェックすると自動追加され、パラメータも連動する。
キーフレームや微調整など、エッセンシャルサウンドよりも細かく設定したい場合に、エフェクトコントロールパネルで調整します。
クロマノイズ除去の使い方1. エフェクトを追加する
エフェクトは、エフェクトパネルからドラッグ&ドロップすることで追加できます。
クロマノイズの使い方2. パラメータを調整する
細かいパラメータはエフェクトコントールパネルの「編集」をクリックすると表示されるウインドウで行います。
編集パネルで調整できるのは3ヵ所。
【クロノマイズ除去:編集パネルと入力箇所】
- プリセット:軽め・重めの2パターンを選択可能。
- フォーカスの処理:特に調整したい周波数帯を選べる。左から、フラット・低音重視・中帯域重視・低高帯域重視・高帯域重視の5パターン。
- 適用値:ノイズ処理効果を自由に選択できる。スライダーを左右に動かして調整する。
◎キーフレーム
キーフレームは、エフェクトコントロールパネルの「個別のパラメータ」から設定できます。
弄り過ぎると不自然さが目立つのは音響のセオリーなので、基本はプリセットの軽めor重め程度で充分。
適用値を変えるかは、音声を聞きながら判断します。
フォーカスの処理は、ハマるときは激変するので試してみてもいいですが、大して変化を感じないことも多いので 基本はフラット でも特に問題はない。
ちなみに、人間の音声中心なら山型の中帯域重視のパターンを使うのがおすすめ。
プレミアプロ【DeHummer】を使ったノイズ除去・方法
DeHummerは、「エッセンシャルサウンド>ハムノイズ音を除去」で連動*するエフェクトです。
*エッセンシャルサウンドでチェックすると自動追加され、パラメータも連動する。
キーフレームや微調整など、エッセンシャルサウンドよりも細かく設定したい場合に、エフェクトコントロールパネルで調整します。
【ハムノイズとは?】
- ハムノイズとは、電源周波数に準じた低い「ブーン」という低音ノイズのこと。
DeHummerの使い方1. エフェクトを追加する
エフェクトは、エフェクトパネルからドラッグ&ドロップすることで追加できます。
DeHummereの使い方2. パラメータを調整する
細かいパラメータは、エフェクトコントールパネルの「編集」をクリックすると表示されるウインドウで行います。
編集パネルで調整できるのは4ヵ所。
【DeHummer:編集パネルと入力箇所】
- 周波数:調整開始周波数。
- Q:影響する倍音周波数の数。
- ゲイン:調整できる音量域。
- 倍音スロープ:倍音周波数の減衰率を変更する。値が大きいほど減衰する。
ちなみに、黄色い丸で囲ったポインタをマウスでドラッグすると、周波数+ゲインを直感的に動かすことができます。
◎キーフレーム
キーフレームは、エフェクトコントロールパネルの「個別のパラメータ」から設定できます。
DeHummerは、1000Hz間のピンポイントなハムノイズ除去に最適。
逆に言うと、1000Hz間でしか調整は出来ません。
広帯域で調整したいときは、調整帯域を変えた複数のDeHummerを合成することでいろんなハムノイズを除去できます。
プレミアプロ【リバーブ】を使ったノイズ除去・方法
リバーブは、「エッセンシャルサウンド>リバーブ」で連動*するエフェクトです。
*エッセンシャルサウンドでチェックすると自動追加され、パラメータも連動する。
キーフレームや微調整など、エッセンシャルサウンドよりも細かく設定したい場合に、エフェクトコントロールパネルで調整します。
リバーブの使い方1. エフェクトを追加する
エフェクトは、エフェクトパネルからドラッグ&ドロップすることで追加できます。
リバーブの使い方2. パラメータを調整する
細かいパラメータは、エフェクトコントールパネルの「編集」をクリックすると表示されるウインドウで行います。
編集パネルで調整できるのは2ヵ所。
【リバーブ:編集パネルと入力箇所】
- フォーカスの処理:特に調整したい周波数帯を選べる。左から、フラット・低音重視・中帯域重視・低高帯域重視・高帯域重視の5パターン。
- 量:リバーブの影響量。
◎キーフレーム
キーフレームは、エフェクトコントロールパネルの「個別のパラメータ」から設定できます。
プレミアプロ【自動クリックノイズ除去】を使ったノイズ除去・方法
動画のつなぎ目に入るクリックノイズは、自動クリックノイズ除去のエフェクトを使うと簡単に除去できます。
【クリックノイズとは?】
- クリックノイズとは、ムービーを繋げたつなぎ目に入る「プチッ」というノイズのこと。
自動クリックノイズ除去の使い方
自動クリックノイズ除去を使う手順は次の通りです。
【自動クリックノイズのやり方】
- クリップをネストする。
※連続するクリップを全部選択した状態で「右クリック>ネスト」を選択。 - エフェクトパネルから「自動クリックノイズ」をネストしたオーディオクリップにドラッグ&ドロップ。
「自動クリックノイズ除去」にも詳細設定はありますが、基本は何もしなくても大丈夫です。
プレミアプロ ノイズ除去のまとめ
プレミアプロでノイズ除去をするなら、エッセンシャルサウンドパネルを使って調整するのがおすすめです。
\直感的に操作できるエッセンシャルサンドパネル/
エッセンシャルサウンドパネルは、音響知識がなくても「シーン+フォーカスしたい音の種類」を選ぶだけで大まかな設定項目を準備してくれ、簡単&直感的な操作でノイズ除去・音響調整ができるのが特徴。
なお、エッセンシャルサウンドパネルは、実は個別のオーディオエフェクトと連動していて、チェックボックスをONにすると対応エフェクトが自動でクリップに追加される仕組みです。
エフェクトコントロールパネルを開けば、対応エフェクトより詳細に設定することも可能なので、音にとことんこだわりたい方が二度手間になることもありません。
◎最後に…
個人的に思うことですが、音の世界は映像よりも奥深い側面があるわりに、拘っても視聴者に伝わらないことが多いです。
ぶっちゃけ、細かく調整していくほど正解がわからなくなることも多く、音響調整は軽い設定にとどめるくらいがちょうど良いのかな…。と思います。