水彩絵の具は、誰でも簡単に美しい&かわいい描画ができる画材で、応用テクニックも意外と簡単にマスターできます。
本項では、初心者の方でも簡単に実践できる基本テクニックを6つと、一気にプロっぽい表現が出来てしまう応用テクニックを5つ紹介していきます。
ぜひ作品に取り入れて、表現の幅を広げてみてください。
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水彩画 技法|ウェット オン ドライ
ウェット オン ドライは、鮮やかな発色と透明度で色を重ねる水彩テクニックです。
完全に乾燥することで耐水性を持ち、高い透明度を併せ持つ水彩絵の具ならではの技法と言えます。
ウェット オン ドライ のやり方と特徴について
【ウェット オン ドライ のやり方】
- 着色する。
- 乾かす。
- その上に薄く色水を重ねる。
作品を見ながら、❷~❸を繰り返します。
【特徴・メリット】
半透明のフィルムを重ねる感覚で、混色することができます。
\混色イメージ:重ねる順番が違っても、見え方が変わる/
ウェット オン ドライのメリットは次の通りです。
- 発色の良い混色が出来る。
- 透明感のある混色が出来る。
- 統一感のあるカラー補正が出来る。
ちなみに、ドライヤーで乾かしながら行うと、簡単に作業時間を倍速できます。
水彩画 技法|ドライブラシ
ドライブラシは、水彩絵の具を水なしで使う技法です。
マットなぼかしや細かい線状の質感を簡単に描けます。
ドライブラシ のやり方と特徴について
【ドライブラシのやり方】
- 乾いたブラシの先に、絵の具だまりが出来ない程度に絵の具を付ける。
- 軽くなぞるor叩くように絵の具をこすりつける。
ポイントは、絵の具を筆先にのみ付ける事&つけすぎない事&押し付け過ぎない事です。
【特徴・メリット】
ドライブラシの特徴は、かすれたような細線の質感や、ぼかしの効果です。
塗りによるぼかしよりも、少しずつぼかしを加える事が出来るので、着色に自信のない初心者でも失敗しにくい技法です。
ドライブラシのテクニックや概要を、見るだけでおおむね理解できるのが、Shiiida ARTさんのメイキングムービーです。
\見るだけでわかる!ドライブラシのテクニックムービー/
ドライブラシは、他にもマットな稲穂や草といった密集した細線のタッチにも使いやすい、便利で汎用性の良いテクニックです。
水彩画 技法|スパッタリング
スパッタリングは、色水を叩きつけて紙に定着させる技法で、粒子の大きさや方向、叩きつけるスピードによって、予測できない様々な表情を作れます。
スパッタリング のやり方と特徴について
【スパッタリングのやり方】
- 色水を作る。
- 金網&歯ブラシや、筆、ストローなどに含ませた色水を落下させる。
【特徴・メリット】
使う道具、水の量、色、力加減などの要素で表情が変わり、再現不可能な唯一無二の模様が出来るのも魅力です。
- 粒子が大きいほど、ウニのような予測不能なとげとげ形状になる。
- 粒子が小さいほど、霧状の表情になる。
- 叩きつける方向に沿って、糸状の線が追随する。
- 力加減がそのまま躍動感になる。
\小学生にも大人気!金網を使ったスパッタリング ムービー/
水彩画 技法|ドリッピング(吹き流し)
ドリッピング(吹き流し)は、紙を傾ける・吹くなど、色水を移動させることで着色する技法です。
ドリッピング(吹き流し) のやり方と特徴について
【ドリッピング(吹き流し)のやり方】
- 色水を水彩紙に乗せる。
- 紙を傾ける・ストローで吹くなどで、色水を動かす。
ポイントは、しつこくやり過ぎないこと…です。
【特徴・メリット】
手描きでは出せない、ナチュラルなラインや、美しいマーブル模様が簡単に作れます。
偶発的に生まれる有機的なラインは自然界の形状にも類似し、どんなモチーフとも素晴らしくマッチングします。
\光村図書 吹き流しメイキングムービー/
水彩画 技法|マスキングテクニック
マスキングは、色を付けたくない部分を保護するテクニックです。
水彩絵の具は、良くも悪くもじわーっと滲む性質があるので、滲みをコントロールできるマスキングテクニックは、ぜひともマスターしておきたい技法ですね。
ちなみに、直線のマスキングにはテープを、有機形状のマスキングにはインクをと、使い分けるのがおすすめです。
【マスキングのやり方】
- 色を付けたくない場所にテープ・インクでマスキング(養生)する。
- マスキングの上から着色する。
- 絵の具が乾いたら剥がす。
ポイントは、テープをしっかり貼る事と、乾燥してから剥がすことです。
【特徴・メリット】
- 明確な境界線・面を作れる。
- 鋭利な直線の白抜きができる。
- 精密な白抜きが出来る。
マスキングがうまくなると、魅力的で複雑な装飾模様も簡単に作れます。
マスキングインク のやり方と特徴について
マスキングインクは、絵を描くようにマスキングできる便利なツールです。
\ホルベイン:マスキングインクの使い方/
マスキングテープ のやり方と特徴について
マスキングテープは、地平線や人工物などの境界線をスパッと塗り分けるのに便利なツールです。
\春先 幹太さん公開の水彩画メイキング/
名人になると、複雑で繊細な形状でもマスキングで保護する人もいます。
水彩画 技法|初心者向けTips メイキング動画集
ここまでに紹介した技法のtipsがまとまった動画を集めました。
テキストで分かりにくかった方は、ここで一旦チェックしてください。
【ここまでに紹介した技法】
- ウェット オン ドライ
- ドライブラシ
- スパッタリング
- ドリッピング
- マスキング
● PearFleurさん
\Watercolor Quick Tips and Tricks!/
● Nocturnal Fiaさん
\10 Easy Watercolour Tips & Tricks/
マスキングテープの処理…、画力、はちょっと甘めですが、技法のやり方や表現のイメージがとってもわかりやすいです。
水彩画 技法|平塗り
平塗りは、ムラを少なく、塗料を均一に塗るテクニックです。
水彩絵の具はサイジング(滲み処理)された水彩紙の上に色水を乗せて自然乾燥させる画材なので、ある程度のムラは特性(仕様)です。
完璧にムラなしの塗面を作りたい方は、不透明絵の具(ガッシュ)を使いましょう。
平塗り のやり方と特徴について
【平塗り(フリーハンド) のやり方】
- 充分な量の色水を作る。
- 大きめの平筆を使い、塗りたい面の輪郭→内面へと一気に塗り広げる。
- 色水溜まりがあれば、塗った筆で散らす。
【平塗(フリーハンド)図解】
ポイントは、輪郭の内側に塗った色水をまきこむように、一筆で塗り潰すことです。
なお、平塗りはツールを使うとやり易くなります。
【ツールを使った平塗のやり方】
● マスキングテープ・インクを使って塗面を残し、たっぷりの色水を乗せる
一発で塗り広げられるため、確実にきれいな塗面を塗れる。
● オックスゴールを使う
水彩紙の水はじき効果を緩和するメディウム(オックスゴール)を使うと、じんわり紙に色水が浸透するので、結果としてムラが少なくなる。
【ムラの無い状態とは?】
物理的に、紙上に置いた色水内の顔料を均一にすると、ムラの少ない状態を作ることができます。
平塗り技法の全ては、色水の顔料を均一化するための作業といっても過言ではありません。
\平塗りのコツ/
- 濃度の均一な色水を最初に作る事。
- 濃度の一定な色水をたっぷり含む筆を使う事。
- 乾燥する前に一気に塗面を塗り広げる事。
- タッチの出にくい(顔料が偏りにくい)平筆を使う事。
水彩画 技法|ウェット イン ウェット
ウェット イン ウェット は、たっぷりの色水が残る濡れた紙面に、新たな色水を追加する混色技法のひとつです。
ウェット イン ウェット のやり方と特徴について
【ウェット イン ウェット のやり方】
- たっぷりの色水を水彩紙に乗せる(ウォッシュ)。
- 乾かないうちに、色水を追加する。
ポイントは、紙が濡れている状態に行うことです。
【特徴・メリット】
水の流動性を利用し、手描きでは難しい滲みや模様、ムラを簡単に作れます。
デメリットは、出来上がりを予想し辛い事ですね。
ウェット イン ウェット は予想が難しいので、実際の変化を体験しながら感覚を掴むしかありません。
経験を積む際に役立つ動画を3つ集めましたので、よろしければご活用下さい。
● 小学生向け 水彩画技法ムービー
● YUKI先生 ハウ トゥ ムービー
● 春崎 幹太 先生 メイキングムービー
春崎先生のムービーまで見てみると、水彩画=ウェット イン ウェットなんだなって思えますね。
なお、水彩画らしいウェット イン ウェットを使いこなすには、普通の画用紙やケント紙では難しく、水彩紙使いが不可欠になります。
水彩紙の特徴・規格・選び方などをまとめました。詳しくお知りになりたい方は、こちらもご覧ください。
水彩画 技法|塩
塩を濡れた塗面に撒くだけで、不思議な模様を作れます。
デッサン力などは、1mmも要りません。
塩 のやり方と特徴について
【塩のやり方】
- 濡れた塗面に塩をまく。
ポイントは、安い精製塩を使うこと・自然乾燥させること・変化の傾向をある程度予測することです。
【チェックしておく傾向】
- 手持ちの塩の変化率
- 充分に濡れた状態で撒いた時の変化率
- 乾き気味で撒いた時の変化率
- 絵の具による変化率
いきなり本作品に使う前に、似た状況で試しておくことが大事ですよ。
【特徴・メリット】
塩の吸水作用で、塩周辺の絵の具濃度が変化し、雪の結晶の様な白抜き模様ができます。
幻想的で繊細な模様がノーテクニックで作れるので、初心者の方にもおすすめです。
デメリットは、乾燥までに時間が必要なことです。
● Yuki先生 ハウ トゥ ムービー
塩の技法は、雪・苔・木々・森・鱗‥‥といったモチーフの模様としても使えます。
水彩画 技法|拭き取り
拭き取りは、絵の具が乾く前に様々なツールで拭き取る技法です。
引き算で、滲みやグラデーションを作れます。
拭き取り のやり方と特徴について
【拭き取り のやり方】
- ウォッシュ(着色)する。
- 乾く前に拭き取る。
ポイントは、紙を痛めるほど強くこすらない事です。
【特徴・メリット】
色を塗るという概念とは真逆の、ユニークな技法です。
拭き取るツールによって様々な表情が生まれます。
\拭き取りツールごとの特徴/
- 筆:緩やかな脱色を行い、スムーズなグラデーションを作る。
- ティッシュ:粗目の脱色を行い、雲や煙のような表情を作る。
- スポンジ:ティッシュより密の細かい霧状の脱色ができる。
- 布:繊維によって多様な表情が作れる。
● 光村図書 色んな技法を紹介しています(拭き取り技法は3分くらいから見れます)。
水彩画 技法|ラップ
ラップは、濡れた塗面にビニールを押し付けることで、エッジの効いた硬質な抽象模様を作る技法です。
車などのカスタムペイントでも頻繁に使われるテクニックで、かっいい&攻撃的な模様を作れます。
ラップ のやり方と特徴について
【ラップ のやり方】
- ウォッシュ(着色)する。
- 乾く前にくしゃくしゃにしたラップ(ビニール)を塗装面に押し付ける。
- 乾燥してからラップを取り外す。
ポイントは、透明のラップ(ビニール)を使うことです。
【特徴・メリット】
ビニール等の皺に、色水が引っ張られることで模様が作られるため、防水性のある素材ならビニール以外でも応用できます。
水の張力を使った模様作りが出来る、その他アイテム
- ペットボトルの蓋・切り刻んだ紙片・木の枝…etc。
ビニールにも、柔らかい皺を作るもの、鋭利な皺を作るものがあるので、色んな素材を試してみるのも面白いですよ。
- サランラップ
- アルミホイル
- スーパーのビニール
- ‥‥etc。
色んなところに絵の具が飛び散りやすいので、マスキングは忘れずに。
水彩画 技法|中級者向けアートテク メイキング動画集
● Teela Cunninghamさん
\3 Simple Tricks for Unique Watercolor Textures/
水彩画 技法|まとめ
ここまでに紹介したテクニックは、センスや経験はほとんど必要なく、誰でも簡単にワンランクアップできる技法なので、ぜひ実際にやってみてください。
水彩画は、滲み自体が味になるおおらかな画材で、初心者が大胆に描くだけで美しく描ける画材です。
使う溶剤も水なので、場所や設備にも大層なものは不要で、高度な絵画技法が手間暇なくスピーディーにできてしまうのでとっても楽しいですよ。
興味のある方は、ぜひ気軽にはじめてみてほしいですね。
ちなみに、絵のセンスを上げるのは難しいですが、水彩絵の具を使いこなすのは比較的簡単です。
最も簡単にテクニックを上げる方法は、模写と上級者の動きを観察する事で、初心者にこそ適した学習法は通信講座だったりします。