著作権使用料の仕組みと、使用料を払わずに合法的に楽曲を使う代替案を紹介します。
利用料が必要な理由を知りたい方、追加費用をかけずにBGMを利用したいとお考えの方、よろしければ参考にしてください。
結婚式での著作権侵害
著作権侵害になりやすいパターン
ブライダルで 著作権の侵害 に発展するケースは、以下2つのケースです。
【著作権侵害の可能性がある楽曲の利用シーン】
- 市販の楽曲をコピー(録音)してムービーやCDを作る時。
- 市販の楽曲をBGMとして会場で流す時。
正規に購入した楽曲を私的利用する時は、楽曲のコピーも音を出しての再生も認められているので、上記のような著作権侵害には当たりませんが、以下のブライダルシーンは私的利用とはみなされないため、使用料が必要になります。
【楽曲の使用料が新たに必要なケース】
- 楽曲購入者以外の視聴・販売を目的として作成されるDVD・CDなどのメディアに音源を録音すること。
⇒結婚式ムービーが該当 - 楽曲購入者以外の視聴・販売を目的として作成されるDVD・CDなどのメディアに、式場内で流れている楽曲を録音すること。
⇒結婚式の記録ムービーが該当 - 公共の場で、楽曲を視聴すること。
⇒結婚式場や披露宴会場での視聴が該当 - 公共の場で、市販の楽曲を演奏したり歌うこと。
⇒結婚式場や披露宴会場で演奏・再生が該当
ちなみに、「私用かそうでないか?」には異論の余地は一切ありません。
なお、会場での個人的な撮影・録画にBGMが紛れた場合、私的利用(自分で楽しむ・新郎新婦にデータを無償であげる)の範疇なら、権利申請は不要です。
【市販されている楽曲に認められていない利用方法】
- 公共の場で複数の人と視聴すること。
- 公共の場で許可なく演奏・再生すること。
- 複数の人と視聴することを目的としてメディアへ録音すること。
結婚式と演奏権
演奏権の利用許可が必要なケースと対処法
会場内で、「演奏(視聴)」の許可が必要になるのは次のケースです。
- CD・DVDなどのメディアを再生する。
- 楽曲の生演奏や歌唱する。
- CDやDVDを機器で再生することは「演奏」という行為に当たります。
ちなみに、演奏権の利用申請は会場が行うため、新郎・新婦が手続きすることはありません。
JASRACとの契約について
通常、結婚式場はJASRACとの包括契約を結んでいるため、式場内でJASRAC登録の楽曲再生しても利用料は発生しません。
【JASRACとの包括契約を結んでいる会場のメリット】
ブライダル会場の多くは、JASRACとの包括契約を結ぶことで、以下のメリットがあります。
- 該当会場では、JASRACデータベースの楽曲を自由に「演奏」利用が可能です。
- 演奏料は会場が支払っているため、会場利用者に追加徴収されることも有りません。
楽曲演奏(再生)をお願いする時の注意点は次のとおりです。
【楽曲再生ができるメディアについて】
会場での再生できるメディアは、基本的に以下2点のみです。
- CD原版
- 著作権料を支払って録音されたCD・DVD・BD(要著作権の許諾証明シール付き)
【利用できる楽曲について】
会場で演奏(再生)できる楽曲は、JASRACの楽曲データベースに登録されたもののみです。
- 会場で楽曲を使用するための申請は会場が行う。
- 会場で使用できる楽曲はCD原版(もしくは著作権料を支払済みのメディア)のみ。
- 会場がJASRACと包括契約を結んでいる場合、会場内でCD原版を再生させることに制限や追加料金はない(iSUM登録楽曲に限る)。
好きな楽曲が使えないケース | 対処or代替案 |
会場がJASRACと包括提携がされておらず、演奏権の申請が必要 | ◎お金は掛かりますが、演奏権を申請しましょう。
|
使いたい楽曲がJASRACのデータベースにない | ◎JASRAC登録済みの楽曲に選びなおしましょう。
|
いずれにしても、演奏権の申請は会場が行う手続きですから、使いたい曲のある方は 早い段階でプランナーの方へ相談しておきましょう。
結婚式ムービーと複製権
複製権の利用許可が必要なケースと代替案
楽曲の複製に 利用許可 が必要なのは次のケースです。
- 楽曲を収録したウェディングムービー(DVD)の制作
- 楽曲を収録した自作CDの制作
- 記録動画の撮影&制作
- ブライダルシーンで使うメディアへ市販の楽曲をコピーする時には、複製権の申請と支払いがもれなく必要になる(ロイヤリティフリーを除く)。
- 複製権の利用には、会場サイドのヘルプはない。
楽曲を複製する人が、管理法人へ申請します。
- ムービー制作業者【DVD】が制作する場合は、iSUM申請のオプションを利用してください。
自分で申請しても、大した経費削減にはなりません。 - 個人(DVD・CD)でムービーやCDを作る場合は、自分で申請することになりますが、かなり面倒なのでおすすめしません。
動画を編集する人が、管理法人へ申請します。
ただし、録画の範囲・利用目的などによって、権利利用申請の是非が変わります。
- 撮影した人が個人で楽しむ場合や、家族が撮影した動画を新郎新婦に無料で渡す場合には、私的利用となりますので、申請は不要です。
- まずは、制作を担当される業者や、プランナーの方に申請の是非を確認してください。
複製権は会場サイドではフォローしてもらえないので、自分か制作業者に対応してもらうことになります。
【会場のJASRAC包括契約と複製権】
- 会場が結んでいる包括契約は、演奏権に関するものです。
- メディア単体に掛かる複製権については、製作者自身が利用申請を行います。
複製権については、基本的に会場(プランナー)はノータッチとなります。
基本的に、ウェディングムービーや記録ムービーのBGMには、できるだけ市販の楽曲を使わないようにするのが最もおすすめで簡単な対策となります。
複製権が必要なケース | 対処or代替案 |
ウェディングムービーに市販の楽曲を組み込む |
◎市販の楽曲はコピーしないようにする 基本は、市販の楽曲を使わないか、コピーしないのいずれかです。
|
サビの部分を冒頭にするなど、楽曲のタイミングを調整したい |
◎会場の音響さんにタイミングを合わせてもらう 入場やケーキ入刀などのアクションとサビのタイミングと合わせたいというパターンには、次の手が使えます。
|
記録動画の撮影&編集時に、会場のBGMが録音されている |
◎楽曲が録音されている箇所を無音で制作してもらう
|
「複製権を払ってまで楽曲を盛り込むべきか?」は、お金で解決できる問題ですが、利用許可が完了するまでには時間が必要なので早めに行動しましょう。
音楽著作権の基礎知識
権利問題というのは大抵複雑ですが、音楽関連の著作権については次の2点を理解しておくと良いでしょう。
- 利用料が発生する権利には2つの種類がある。
- それぞれの権利は、管理する団体が異なる。
著作権は、著作物の利用目的(行為)に応じて、利用する(お金を払う)べき権利が変わります。
やりたいコト | 権利保持者 | |
著作権 | 著作隣接権 | |
演奏・上映 | ◎ | ✖ |
複製 | ◎ | ◎ |
楽曲を利用する場合には、利用目的によってどちらか(もしくはどちらとも)の権利保持者へ、利用料を支払う必要があります。
- 例えば、「複製行為」は、著作権と著作隣接権の利用許可が必要な行為です。
楽曲の著作権は、以下2つに分類することができ、権利を所有している人・団体が異なります。
権利の種類 | 権利保有者 | 管理団体 |
著作権 | 作詞・作曲者など | JASRACなど |
著作隣接権 | レコード会社・アーティストなど | 日本レコード協会など |
- 著作権を持っているのは作詞・作曲者で、管理はJASRAC
- 著作隣接権を持っているはレコード会社やアーティストで、管理は日本レコード協会
- 複製のように、2つの団体それぞれに申請が必要な場合は各団体へ個別に申請を行います。
- 団体間の連携はありません。
- 申請手続きから完了まで、2週間程度が必要です。
結婚式ムービーの著作権手続き
iSUMとは
iSUMとは、結婚式で利用される市販CD音源の著作権、及び著作隣接権の権利申請と権利料支払を、一括で処理代行してくれる一般社団法人です。
一つの楽曲を使う場合でも、複製か演奏か上映かによって、申請先が異なるのは前述したとおりですが、iSUMを仲介することで、2ヵ所への申請が一括処理できるようになるため大変便利です。
\iSUMの業務イメージ/
とても便利なサービスですが、iSUMを利用できるのはブライダル事業者のみです。
- iSUMは、ブライダル事業者しか利用できません。
- 個人が権利申請を行う場合は、JASRACや日本レコード協会へ、個別に手続きを行う必要があります。
やりたいコト | 権利保持者 | |
著作権(JASRAC) | 著作隣接権 (レコード協会) |
|
演奏・上映 | ◎ | ✖ |
複製 | ◎ | ◎ |
よって、個人で申請ができるのは複製権のみということになります。
ちなみに、複製権の申請は 2団体への申請が必要 で、完了するまで10日~2週間かかります。
複製権の料金
ちなみに、複製権の費用ってわりと高額です。
ウェディングムービーやCDに市販の楽曲を盛り込む場合の、複製権の利用料金の目安は次のとおりです。
【複製権の利用料 目安】
- 5分/1曲の利用料:2,500円~4,000円程度
結婚式ムービーの著作権 まとめ
ブライダルシーンで著作権が絡むのは、ほぼ楽曲利用についてです。
具体的には次の2点。
- 会場内で市販の楽曲を再生するとき。
- ウェディングや記録ムービーへ市販の楽曲を録音するとき。
なお、権利申請は個人でも出来ますが、割と難解なので自分でやるのはできるだけ避けるのが無難です。
中でも、複製権は自分がやらなければいけなくなるため、該当の事案に手をだすのはそもそもおすすめしません。
\事案別の権利&申請者 一覧/
権利申請が必要なケース | 演奏権 | 複製権 | 申請者 |
ウェディングムービーの制作に市販の楽曲をコピーする。 | ✖ | ◎ | 制作者 |
市販の楽曲を使ってCDを制作する。 | ✖ | ◎ | 制作者 |
会場内の記録動画を撮影&編集する。 | ✖ | ◎ | 制作者 |
楽曲を会場内で再生・演奏する。 | ◎ | ✖ | 会場 |
とはいえ、権利の仕組みや対策については、けっきょく式場によって最善策は変わるのが常です。
よって、絶対に間違いのない対策は以下の通りです。
【音楽著作権で失敗しない唯一のコツ】
- 使いたい楽曲がある人は、式場のプランナーさんに事前にやりたいことを相談しておく。
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