油絵の道具や基本知識、描き方について紹介します。
「これからはじめてみようかな?」とお考えの方、よろしければ参考にしてください。
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油絵の絵の具
油絵らしいタフで重厚な表現を可能にしているのが油絵具です。
油絵具は、顔料(色の粉)にポピーオイルやリンシードオイルなどの植物油を練り込んだ絵の具で、油が酸化することで着色・硬化します。
油の硬化スピードはゆっくりなので、お絵描きが不慣れな初心者にも扱いやすい画材です。
- 油絵具は、油の酸化によって顔料が定着・硬化する塗料で、水彩やアクリルのように、水分の乾燥による着色・硬化はしない。
- 絵の具に水分を含んでいないので、硬化後に絵の具が痩せることもない。
油絵具の種類について
油絵の具は、顔料によって大きく2つの種類に分けられます。
◎無機顔料
- 素材:鉱物・金属・石・土などの無機顔料。
- 価格:高価な宝石や鉱物を使うこともあり、高価なものが多い。
- 特徴:有機顔料に比べて保存性・隠ぺい力・耐光性に優れ、落ち着いた色味が多いです。
- カラーサンプル:プルシャンブルー、コバルトブルー、ビリジャン、バーントアンバー…etc。
◎有機顔料
- 素材:近年では植物・動物由来のものはほとんどなく、合成染料を加工して作られた顔料。
- 価格:比較的安価なものが多い。
- 特徴:無機顔料に比べて着色力・発色・透明性に優れ、隠ぺい力・耐光性・耐候性に劣ります。
- カラーサンプル:ローズマダー、ピンクマダー、サップグリーン、モーブ…etc。
【顔料別 性能の特徴と比較】
無機顔料 | 有機顔料 | |
耐光性 | ||
耐酸・アルカリ性 | ||
耐油・溶剤性 | ||
着色力 | ||
隠蔽力 |
※上図は顔料を2分したときのおおまかな傾向を示したもので、全ての顔料に当てはまるものではありません。
油絵具の取り扱いで注意したいのは混色制限です。
【鉛白と硫黄の混色制限】
鉛白と硫黄は混ぜると、化学反応を起こして黒く変色します。
なお、現代では顔料の純度が高く「黒化現象はまず起こらない」というメーカーさんもいますが、わたしは混色制限を守って製作しています。
- 鉛白を含む絵の具:シルバーホワイト・ファンデーションホワイトなど
- 硫黄を含む絵の具:ウルトラマリン・バーミリオンなど
混色制限や透明性については、絵の具の裏にもラベリングされているので、迷うことはありません。
◎透明性記号
透明性は、4段階のいずれかで表記するメーカーが多いですね。
- 透明色
- 透明よりの半透明色
- 不透明よりの半透明色
- 不透明色
\ホルベインの記号&補足文/
◎毒性注意
注意を要する成分が含まれているときは、 警告 の見出しと共に内容を表記するのが決まりです。
- (Cd)カドミウム化合物を含みます。
- (Pd)鉛化合物を含みます。
- (Co)溶解性コバルトを含みます。
- (Cu)溶解性銅を含みます。
- (Hg)硫化水銀を含みます。加熱禁止。
毒性注意‥‥という物々しい表記になっていますが、大量に口に含んだり常時体中に塗ったりしない限り、人体に影響することは稀なので、普通に使うぶんには安心して大丈夫です。
油絵の道具
油絵に必要な道具について
油絵をはじめるのに最低限必要の道具は10点ほどで、1.5万円以下で購入できます。
【はじめての油絵に必要な道具&費用目安・一覧】
- 絵の具:5,000円
- パレット:700円
- 筆セット:2,300円
- 溶き油:800円
- 油壷:600円
- ウエス:900円
- ブラシクリーナー:1,100円
- 筆洗器:2,500円
- 石けん:100円
- キャンバス:900円
⇒合計:14,900円
【はじめての油絵に必要な道具・一覧】
道具 | おすすめ商品 | 価格 |
絵の具 | 5,000円 | |
パレット | 700円 | |
筆 | 2,300円 | |
溶き油 | 350円+450円 | |
油壷 | 600円 | |
ウェス | 900円 | |
ブラシクリーナー | 1,100円 | |
筆洗器 | 2,500円 | |
石けん | 100円 | |
キャンバス | 900円 | |
合計 | 14,900円 |
※価格はざっくりの相場です。税込の目安ですが、送料は含んでいません。
油絵をはじめたい方は、まず10点の道具を揃え、まずは1~2枚を自由に描いてみることからスタートするのがおすすめです。
イーゼルやスツールなどの大きめの道具は、3枚以上描きたいと思えてから揃えていけば大丈夫です。
ちなみに、安物のイーゼルは疲れやすく作業効率も下げてしまうので、イーゼルだけは初心者でもそこそこの製品を購入するのがおすすめですよ。
\わたしのおすすめ!ターレンス ヴァンゴッホシリーズ/
ゼロから油絵をはじめる方~アトリエ持ちの方まで、おすすめの油絵の道具をまとめました。詳細はコチラをご覧ください。
油絵のキャンバス
キャンバスについて
油絵は、下地を施したキャンバス地に描くのが一般的です。
【キャンバスとは】
キャンバスとは、木枠にキャンバス地を張って下地材を塗った油絵用の支持体です。
- キャンバス地:主に亜麻の繊維で作った丈夫な布地で、帆布や画布と呼ばれます。
- 下地材:ファンデーションホワイト・ジェッソなど。
◎キャンバスの粗さ
キャンバスは、目の粗さによって、モチーフの描きやすさが変化します。
- 粗目:タッチや厚塗り表現向き。
- 中目:粗目と細めの中間的な性質。
- 細目:細密描写向き。
目の粗さで迷ったときは、中目を選ぶとよいです。
◎張りキャンバス
張りキャンバスとは、木枠にキャンバス地を張った状態で販売しているキャンバスです。
ほぼ機械で張られた既製品で、手張りよりも緩やかな張り具合になっています。
20号以下のサイズだと価格はどちらも同程度で、サイズが大きくなるほど自分で張った方が安くなります。
張り具合・布・下地に拘りがある方、大きいサイズのキャンバスが欲しい方は、木枠とキャンバスを別々に購入して自分で張るとリーズナブルで満足のゆくキャンバスを手に入れられます。
\自分で張るときは「木枠」と「ロールキャンバス」をそれぞれ購入する/
ちなみに、自分でキャンバスを張る場合には、専用の道具も必要になります。
キャンバスを貼るには、3つの専用道具が必須です。
◎キャンバス張り器
キャンバス地を引っ張って固定するためのプライヤーです。
てこの原理で、強力に引っ張り上げます。
◎キャンバス ハンマー
キャンバスにタックス(釘)を打ち付けるハンマーです。
普通の金づちよりも軽量で、くぎ抜きがついているものが便利です。
◎タックス
キャンバス専用の釘です。
普通の釘よりも鋭利で刺さりやすくて打ち込みやすいです。
また、長すぎないので木枠を突き破る心配もありません。
【張りキャンバスの特徴】
- 張り加減:手張りよりも緩やか
- 価格:サイズが小さいほど手張りと比べても安価。サイズが大きくなるほど手張りよりも高価になる。
- 下地加工:加工済みのものも未加工のものもある。
- 目地:細目・中目・粗目とあるものの、在庫にはバラつきがある。
キャンバスには、モチーフによって最適された3つの規格があります。
- F:Figure 人物
- M:Marine 海景
- P:Paysage 風景
ただの規格なので、実際のモチーフに合わせる必要はありません。
【主なキャンバスサイズとmm換算表】
号数 | Fサイズ | Pサイズ | Mサイズ |
0号 | 180 x 140 | – | – |
1号 | 220 x 160 | 220 x 140 | 220 x 120 |
SM | 227 x 158 | – | – |
2号 | 240 x 190 | 240 x 160 | 240 x 140 |
3号 | 273 x 220 | 273 x 190 | 273 x 160 |
4号 | 333 x 242 | 333 x 220 | 333 x 190 |
5号 | 350 x 270 | 350 x 240 | 350 x 220 |
6号 | 410 x 318 | 410 x 273 | 410 x 242 |
8号 | 455 x 380 | 455 x 333 | 455 x 273 |
10号 | 530 x 455 | 530 x 410 | 530 x 333 |
15号 | 652 x 530 | 652 x 500 | 652 x 455 |
20号 | 727 x 606 | 727 x 530 | 727 x 500 |
25号 | 803 x 652 | 803 x 606 | 803 x 530 |
30号 | 910 x 727 | 910 x 652 | 910 x 606 |
50号 | 1167 x 910 | 1167 x 803 | 1167 x 727 |
80号 | 1455 x 1120 | 1455 x 970 | 1455 x 894 |
100号 | 1620 x 1303 | 1620 x 1120 | 1620 x 970 |
油絵の基本的な書き方
油絵の基本的な塗り方について
油絵具を使ったお絵描きも、基本的にはその他画材で描くのとあまり変わりません。
【油絵製作の流れ】
- キャバスを準備する。
- キャンバスに鉛筆やパステルで下絵を描く。
- 油絵で描き込む。
- 完全乾燥後(6ヵ月程度)ニスを塗る。
水彩系の画材と違うところは主に2つ。
◎乾燥すると完全に硬化する
- 油絵は、乾燥後は、上に乗せた色と混ざることなく厚塗りできます。
- そのため、暗い所や色味の濃い所から塗り始める のが、油絵のスタンダードな塗り方です。
- 全体のトーンを整えながら明るい色を重ねていけるので、早い段階から出来上がりをイメージしやすくなります。
◎乾燥スピードが遅い
- 水彩絵の具と違って、油分の化学反応で硬化・乾燥するため、時間がかかります。
- 乾燥が遅いと、画面が濡れているときにしかできないグラデーションや繊細なタッチに時間を掛けても間に合うので、作業に手間取りがちな初心者に向きます。
- 油絵具の表面硬化は1日~数日で、日を跨げば加筆できます。
- 絵の具内部から完全に乾かすには、6か月程度の時間が必要です。
油絵具は良くも悪くも制作に時間がかかるので、ゆったりと塗りを楽しむのが最大のコツです。
ちなみに、油絵具は溶剤(メディウム)を混ぜたり揮発性油の配合を変えることで、乾燥スピードを調整することができます。
\乾燥を早めるラピッドメディウム/
塗りスキルに応じてスピーディーな制作も可能になるので、上達するほど表現の幅も広がります。
油絵の技法
油絵の技法について
油絵の中で、最も特徴的な技法といえば プリマ ・ グレーズ の2つです。
◎プリマ
乾燥スピードの遅さを活かし、描きはじめから完成まで一気に描き上げる上級者向けの技法です。
スピーディーに制作するため、作者の感動や現場のニュアンスが、タッチや躍動感となって残る情熱的な表現となります。
一気に描き上げる印象派もプリマのひとつです。
◎グレーズ
乾燥したら混ざらない油絵具の特性を活かし、薄い色の膜を幾層も重ねる油絵ならではの技法です。
透明色を薄く重ねていくため、透明感があるのに複雑で深くて重厚な画面を作り上げます。
古典絵画などに見られる緻密で荘厳な油絵らしい表現です。
ちなみに、水彩・油彩・アクリルで使える技法のほとんどは油絵でも出来ます。
【油絵でもやれる技法】
- ウェット オン ドライ:完全に乾いた塗面に重ねて塗る技法。油絵だとグレーズ。
- ドライブラシ:乾いたブラシで叩きつけるように着色する技法。
- スパッタリング:絵の具を画面に叩きつけた時の自然な躍動感を活かす着色技法。
- ドリッピング:絵の具をキャンバスに落としたときに生じる模様で着色する技法。
- 拭き流し:水たまりをストローで吹いたり傾けて液だれさせながら着色する技法。
- マスキング:着色しない箇所を保護する技法。
- 平塗り:ムラを少なくする方法。ちょっと慣れが必要。
- ウェット イン ウェット:濡れた画面に絵の具を重ねて混色する技法。油絵だとプリマ。
- ふき取り:乾かないうちに絵の具を拭き取る技法。
- ラップ:エッジの効いた模様を作る技法。
油絵の上達法
油絵を上達させるポイントは次の3つです。
【油絵の上達に必要な3要素】
- デッサン力を上げる。
- 色彩感覚を磨く。
- 画材を把握する。
デッサン力は物を立体的に表現する力で、空間やトーンのバランス感覚にも影響を持ちます。
デッサン力が上がると、作品全体をトーンでバランスとれるようになるので、ぱっと見で安定感のある画面を描けるようになります。
ちなみに、色彩感覚と画材は、スキルというより知識なので、センスや経験関係なしにだれでも身に付けられます。
油絵の上達法について
時間と環境さえ許されれば、必要スキル別にトレーニングしていくのが最も望ましいですが、ほとんどの方には難しいですよね。
そこでおすすめなのが、油絵以外の画材を使ってお絵描きする方法です。
同じお絵描きでも、アプローチを変えるだけで学べるスキルと気づきが格段に広がるので、時々画材を変えるのはホントおすすめですよ。
なお、一般の方が取り組みやすい画材・手段は次の3つですが、最も学習効率がよいのは水彩画です。
【画材別 鍛えられるスキル・一覧】
学習法 | デッサン力 | 色彩感覚 | 画材知識 |
水彩画 | ◎ | ◎ | × |
鉛筆デッサン | ◎ | 〇 | × |
絵画教室 | △ | △ | 〇 |
画材知識は、ネットや本からでもスキルアップできるものなので、時間を見つけて学習してください。
色彩もネットや本からかなりの知識を学ぶことができます。
良き本をお探しならコチラがおすすめです。
\自然光や人工光や肌の色の変化など、本格的な色彩学が学べる良書です/
コレ、光学と色学に基づいて解説されているので学びが多い本ですよ。
【おすすめの 油絵 通信講座はコレ!】
油絵を効率的&効果的に学ぶなら、絵画教室よりも自分のペースで学べる通信講座がおすすめです。
中でも、「ユーキャンの油絵講座」は、油彩画材の扱い方をマスターすることに特化したカリキュラムを、繰り返し視聴可能なDVDで繰り返し学習できるのが特徴!
ポイントをまとめた教材や用語集などもあり、油彩の基礎から楽しく学べるのが魅力です。
- 画材セットの教材だから、届いた日からすぐ描ける。
- テキストは大判(B4)サイズ!テキストもサンプルも見やすい。
- 各巻の要点をまとめたポイント解説集つき。
油絵のおすすめ画家
おすすめの油絵画家 6選
初心者の方に紹介したいのは、今も色あせない巨匠たちです。
フェルメール
フェルメールは、16世紀のオランダの画家です。
現存する作品数が35点と極小ながら、全てが傑作という謎多き画家です。
所々に反射する光点や鮮やかな色彩は、今なお多くの人を惹きこんでやみません。
レンブラント
レンブラントは、17世紀のオランダ絵画黄金期に活躍した巨匠です。
スポットライトを当てたような明暗対比や深層心理が滲み出るような人物の表情を描くのが得意で、「光の画家」・「光の魔術師」といった異名を持ちます。
ゴッホ
ゴッホは、18世紀 ポスト印象派の画家で、恐らく生前に全く評価されなかった唯一の巨匠です。
厚く盛られた筆跡と鮮やかな色彩で数々の名作を残しています。
浮世絵から影響を受けた構図や遠近法も随所に見られ、日本でも人気の画家です。
ドガ
ドガは、19世紀に活躍した印象派画家のひとりです。
堅牢なデッサン力で、踊り子や都市生活者を好んで描き、浮世絵の構図も積極的に取り入れた方です。
デッサン・構図・色彩など、わたしが最も好きな油彩画家です。
ピカソ
ピカソは「知らない人はいないのでは?」と思ってしまうほどに有名な19世紀 最大の巨匠です。
強力な画力をバックボーンに、目まぐるしく作風や画材を変え続けたエネルギッシュな方です。
ピカソの作品は平塗りしか知らない方も多いですが、コラージュ・ナイフ・モデリングといった斬新な技法や、最先端のアートシーンを片っ端から切り開いて壊してきた魔人です。
クリムト
クリムトは19~20世紀に活躍したウィーン最大の画家です。
鮮やかなゴールドと妖艶な女性像が印象的な黄金期の作品は、日本でも大人気です。
油絵の書き方 まとめ
油絵の特徴は、乾燥に時間がかかることと、乾燥すると強固な塗面を持つことです。
この特徴のお陰で、油絵は初心者でも比較的簡単に扱うことができます。
【油絵のメリット】
- 乾燥が遅いので、時間をかけて制作できる。
- 失敗してもやり直しが簡単。
- 誰がやっても重厚で濃密な着色や表現ができる。
初期費用もリーズナブルで、1.5万円もあればすぐに始められます。
小さい作品にはイーゼルやキャンバス張りは不要なので、まずは最小の道具だけを揃えて、1~2枚を目標に時間をかけて取り組んでみるのがおすすめです。