字体・フォントの種類や違いについてまとめました。
たくさんあって迷ってるときなど、良かったら参考にしてください。
日本語フォントの種類
日本語フォントの源流は大きく分けて2種類です。
【2大日本語フォント】
- 明朝体
- ゴシック体
現在膨大に存在している日本語フォントは、この2つをベースにいろんな企業が開発したものです。
2大フォントと、派生フォントについて解説します。
明朝体
「明朝体」は代表的な日本語フォントで、活字印刷やデジタルテキストなど、多岐にわたって使用されます。
明朝体の特徴は以下の通りです。
◎垂直の強調
- 明朝体は文字の縦線が太く、横線が細いのが特徴。文字が垂直方向に強調されるため、文章全体で見た時に安定感があります。
◎装飾性
- うろこ(三角形の山)、はね、払い、線の太さの強弱があり、文字自体に流麗な動きがあって美しいです。
◎読みやすさ
- 文章で見た時にまとまりがあって文字間の区別がしやすく、読みやすい字体です。
◎伝統的な印象
- 明朝体は古典的な印象があり、伝統的な価値やフォーマルなシーンにも適しています。
- 歴史的な文章や本、新聞などに広く使用されます。
比較項目 | 明朝体 |
視認性(見やすさ) | 〇 |
可読性(読みやすさ) | ◎ |
小さいサイズ | △ |
デジタル表示 | △ |
印象 | 古典的・フォーマル |
使いどころ | 長文や伝統的なテキスト、大きいフォントサイズ |
不向きなシーン | 小さいサイズやモダンなデザイン |
ゴシック体
「ゴシック体」は日本語書体のもうひとつの主要な書体(フォント)で、明朝体とは違った印象と特徴があります。
以下にゴシック体の特徴やメリット、デメリットについて説明します。
◎均一な太さ
- ゴシック体は、文字の縦横の線がほぼ同じ太さで描かれているのが特徴です。
- 線の太さが均一なため、視線を引きやすく、文字の形状がはっきりとしていて見やすいです。
◎装飾性
- 均一な太さとシンプルなデザインから、モダンでクリーンな印象を持ち、標題やヘッダーなどで用いられることが多いです。
- 線の強弱や筆致のニュアンスが少ないので、個性やデザイン性は小さめです。
◎読みやすさ
- ゴシック体は、デジタルディスプレイ上でも文字が鮮明で見やすいです。
- 線の太さが一定なため、小さいサイズでも比較的読みやすいです。
◎モダンな印象
- ゴシック体はシンプルでモダンな印象を持つため、現代的なデザインやテーマに合うことが多いです。
比較項目 | ゴシック体 |
視認性(見やすさ) | ◎ |
可読性(読みやすさ) | 〇 |
小さいサイズ | 〇 |
デジタル表示 | ◎ |
印象 | シンプル、モダン |
使いどころ | デジタル表示、看板、表題、ヘッダー |
不向きなシーン | 伝統的な雰囲気や美的要素を重視する場面、大文字小文字や数字が混在する文章 |
装飾書体
「装飾書体」は、通常の明朝体やゴシック体をベースとしながら、特徴的なデザインや装飾が施された書体のことです。
装飾書体の特徴やメリット、デメリットについて説明します。
◎装飾的な要素
- 装飾書体は、文字の周りに花や葉、模様などの装飾が施されていることがあります。
- 文字そのものがアートの一部としてデザインされており、通常の文字デザインよりも派手で目立つ特徴があります。
◎独自性と個性
- 装飾書体はそのデザインが他の書体と異なるため、独自性や個性を強調するのに適しています。
- 特別なイベントやデザインプロジェクトに用いることで、特に目を引く効果を持ちます。
◎テーマやスタイルの強調
- 装飾書体は特定のテーマやスタイルを強調するために使用されることがあります。
- 例えば、古典的な書物やファンシーなデザイン、手紙や招待状などで活躍します。
◎読みやすさ
- 装飾書体はデザイン重視のため、文字が複雑化して読みにくくなることがほとんどです。
- 特に長文や小さいサイズでの使用には向いていません。
装飾書体は文字を視覚的に引き立てる効果に優れ、特定のテーマやスタイルを強調するために局地的に使うのが一般的です。
また、視認性・可読性が低いため、メインの文章として使うのは避けるのがセオリーです。
比較項目 | 装飾書体 |
視認性(見やすさ) | × |
可読性(読みやすさ) | × |
小さいサイズ | × |
デジタル表示 | × |
印象 | シンプル、モダン |
使いどころ | 広告、ポスター、特別なイベント(クリスマスやウェディングなど)のデザインの標題、強調テキスト |
不向きなシーン | 一般的な文章やビジネス文書 |
ユニバーサル書体(UD)
「ユニバーサル書体」とは、いろんな年代や使用環境であっても見やすく読みやすいを重視してデザインされた書体です。
ユニバーサル書体の特徴やメリットについて以下に説明します。
◎太さへの配慮
- 明朝体など、細線を含む書体の線を太くすることで、視認性を高めます。
◎文字潰れへの配慮
- 潰れやすい文字の隙間や濁点の離れを明確にして、文字の視認性を高めます。
◎類似文字との差別化
- C・3・6・8など、似た形の文字の隙間や形状を変えることで、形の差別化を行い、個々の文字の視認性を高めます。
比較項目 | ユニバーサル書体 |
視認性(見やすさ) | ◎ |
可読性(読みやすさ) | ◎ |
小さいサイズ | △ |
デジタル表示 | 〇 |
印象 | シンプル、モダン |
使いどころ | 広告、ポスター、特別なイベント(クリスマスやウェディングなど)のデザインの標題、強調テキスト |
不向きなシーン | 一般的な文章やビジネス文書 |
書道のような書体の種類
漢字5体
毛筆フォントの大元になっているのが「漢字5体」です。
- 楷書体
- 行書体
- 隷書体
- 草書体
- 篆書体
中でも、日常で最も利用されているのは楷書体ですね。
その他の書体は現代の文字とはかけ離れているため視認性も可読性も悪く、文章の中に用いることはまずないです。
楷書
「楷書」は、5体の中では最も新しく、点画を正確に書く標準的な書体です。
手書き感を残しつつも崩しもないので伝統的な文書や印鑑用のフォントとして用いられることが多いです。
明朝体と比べると横線が太いぶん見やすくはなるものの、文章となると読みにくい部類と言えます。
比較項目 | 楷書体 |
視認性(見やすさ) | 〇 |
可読性(読みやすさ) | △ |
小さいサイズ | 〇 |
デジタル表示 | 〇 |
印象 | 和風、堅い、正式 |
使いどころ | ビジネス文書、印鑑、挨拶状 |
不向きなシーン | 一般的な文章、印刷物 |
英文(アルファベット)フォントの種類
英文フォントもたくさんの数がありますが、基本は以下の3種類を覚えておけば充分です。
- セリフ体
- サンセリフ体
- スクリプト体
アルファベットは日本語以上に似た文字が多いので、シーンによって適切に使い分ける必要があります。
セリフ体
「セリフ体」は、活字印刷やデジタルフォントなどでよく見られる書体の一つで、付け根に飾り(セリフ)があるのが特徴です。
古代ローマで生まれた文字をもとに作られたことから、「ローマン(Roman typeface)」と呼ばれることもあります。
以下にセリフ体の特徴、メリット、デメリット、使いどころについて説明します。
◎セリフ(付け根の飾り)
- セリフ体は、文字の末尾や付け根に小さな飾りがついていることが特徴です。
- これにより、文字が装飾的で洗練された印象になりす。
◎読みやすさ
- セリフ(付け根の飾り)による文字の装飾が規則性を生み、テキストに整然とした印象を作り出して文章を読みやすくします。
- ただし線には細い部分も多く、サイズが小さくなると視認性が下がります。
◎モダンな印象
- クールでセンスを感じさせるため、現代的なデザインやテーマに合います。半面、フォーマルなシーンやかしこまった文面にはやや不向きです。
セリフ体は、古くから新聞や書籍でも使われたポピュラーな自体です。
日本語フォントの明朝体に近い造形で、美しく汎用性も高いのが魅力です。
比較項目 | セリフ体 |
視認性(見やすさ) | 〇 |
可読性(読みやすさ) | 〇 |
小さいサイズ | △ |
デジタル表示 | 〇 |
印象 | 伝統的、幾何学的、シンプル、モダン |
使いどころ | 広告、ポスター、新聞、書籍 |
不向きなシーン | 小さいテキスト、フォーマル |
サンセリフ体
「サンセリフ体」は、セリフ(飾り)のない書体の一種で、文字の末尾や付け根にセリフがない文体です。
※「サン(sans)」は、フランス語で「ない」という意味。
日本語フォントのゴシック体のアルファベット版といったトコロで、視認性に優れているのが特徴です。
文字が小さくなっても判別しやすいため、webサイトや広告にも良く使われます。
比較項目 | サンセリフ体 |
視認性(見やすさ) | ◎ |
可読性(読みやすさ) | 〇 |
小さいサイズ | ◎ |
デジタル表示 | ◎ |
印象 | シンプル、モダン |
使いどころ | 広告、ポスター、webサイト |
不向きなシーン | 伝統的な雰囲気や美的要素を重視する場面、大文字小文字や数字が混在する文章、長文 |
スクリプト体
「スクリプト」は手書きのような書体で、個々の文字が連続して線で結ばれているのが特徴です。
スクリプト体の特徴、メリット、デメリット、使いどころについて説明します。
◎装飾性
- 手書き感に表情があり、デザインが個性的です。
- 変化に富む筆致に温かみや人間味を感じさせます。
- スクリプト体はアート作品やデザインでのアクセントとして使用され、文字そのものがデザインの一部としての魅力を持ちます。
◎読みやすさ
- 一般的なテキストと比べると可読性は低いです。
- 英文に慣れてない人だと余計に読みづらさを感じます。
◎アートな印象
- デザイン性、オリジナル性が強く、アーティスティックな印象を与えます。
日本では文中に使うことはまずないです。
装飾やロゴ、サイン的な意味合いで使うことが多いです。
比較項目 | セリフ体 |
視認性(見やすさ) | 〇 |
可読性(読みやすさ) | 〇 |
小さいサイズ | △ |
デジタル表示 | 〇 |
印象 | 伝統的、幾何学的、シンプル、モダン |
使いどころ | 招待状、カード、ロゴ、ブランディング、デザイン |
不向きなシーン | 正式、フォーマル、説明文 |
フォントの選び方
フォントにはデザインとしての側面とメッセージを伝える役割があります。
優先するべきは、正しく伝えるための要素 可読性と判別性 です。
【テキストの役割】
- デザイン
- メッセージ(可読性・判別性)
見た目やセオリー通りのチョイスも大事な要素ですが、伝わらなければ意味がないからです。
判別性
判別性とは、文字の違いの認識のしやすさです。
判別性の高いフォントは、文字同士がしっかりと認識できるため、可読性を向上させます。
以下にフォントの判別性を高めるコツをいくつか説明します。
◎文字の鮮明さと形状
- 似たような形状を持つ文字(例: “I” と “l”)を個別に作り分けることで、判別性が向上します。
- 例えば、”g” のループの形状や “a” の曲線を調整することで違いを認識しやすくなります。
◎文字間隔と行間の調整
- 文字間隔(カーニング)や行間(行の間のスペース)を適切に調整することで、文字同士が詰まりすぎず、読みやすくなります。
◎背景とのコントラスト
- フォントと背景のコントラストを確保することも判別性向上に役立ちます。
- 文字が背景から十分に浮き上がり、違いが明確になるように配慮します。
判別性を高めるためには、文字の形状や特徴の強調、独自性のあるフォントの選択、文字間隔やコントラストの調整などが重要です。
文字同士が混同されず、読者がテキストを明確に理解できるようにするために、これらのポイントに注意を払います。
可読性
可読性とは、文章や単語として見たときに、文字が明確で容易に読み取れることです。
「読みやすさの度合い」とも言えます。
可読性の良いフォントは、テキストを読むときに読者にストレスを与えず、効率的な情報伝達ができます。
以下にフォントの可読性を高めるコツをいくつか説明します。
◎シンプルなデザインを選ぶ
- シンプルなデザインのフォントは、無駄な装飾や複雑な形状が少ないため、文字の形が明確で読みやすくなります。
- 明朝、ゴシック、セリフ体、サンセリフ体などの、基本的な書体を用いるのが無難です。
◎適切な文字間隔を確保する
- 文字の過度な詰まりや離れすぎを整えることで、読みやすくなります。
◎太字や色、下線の適切な使用
- 太字や斜体は強調やアクセントを付けるために使用するもので、適度に使用すると可読性が上がります。
- 逆に、過度に使用すると可読性が低下します。
◎複数のフォントを使わない
- 一つのデザイン内で複数の異なるフォントを使用すると、一貫性がなくなり、読みにくくなります。
- 一般的に、1〜2種類のフォントを使用するのが目安です。
◎特殊文字を避ける
- 装飾フォントを文章に使うと可読性が下がります。
- 装飾フォントは、標題やロゴに絞るのがセオリーです。
可読性を高めるためには、シンプルなデザインのフォントを選び、適切な文字間隔やサイズ、コントラストを確保することが重要です。
読者が快適に情報を受け取るために、フォントの選択と調整に十分な注意を払います。
字体の種類 まとめ
正しい字体を選ぶ理由は2つです。
- デザインを注目させる。
- メッセージを正しく伝える。
種類が沢山あるので、つい見た目で選んでしまいがちですが、大事なのはメッセージを正しく伝えることです。
とはいえ、普通は使いどころに適したフォントを選ぶだけで大きな失敗はしなくなります。
フォント選びの失敗パターンで多いのは、デザインに注力しすぎて見づらくしてしまうコトです。
ワンランク上の見せ方をしたいなら、フォント選びよりも可読性と判別性に気を付けるのがおすすめです。
何度もプレビューしながら、「伝わるフォント」を選ぶとすごくセンスを感じる文面に仕上がります。