完成した油絵作品の保管方法について紹介します。
結論から言うと、仮保管なら保管棚、長期保管ならニス塗布&額を付けて飾ってしまうのがおすすめです。
油絵の保管方法
完成した油絵作品の保管方法について
油絵作品の保管ポイントは3つです。
- 直射日光を避ける。
- 湿気を避ける。
- 塗面への干渉を避ける。
お日様を避けて、風通しのよいとこに、触らないように置いておけばよいのですが、作り手にはそのスペースを確保すること自体が大変です。
どうしてもスペースがない場合は、キャンバスに仮枠を付けた上で重ねておくのが最も簡単な保管方法です。
【最もシンプルな重ねて保管する方法】
- 作品の周囲に、キャンバスよりも少し厚めの木枠を取り付けます。
- 木枠に重ねるようにして、作品を 縦or横 に積み上げます。
隙間なく重ねてしまうと通気性が悪くなるので、適度にずらしながら重ねるのもポイントです。
光や埃を避けるために、積み重ねた作品の上へ柔らかい布をかぶせておくと更に良いです。
油絵作品の保護方法
作品の保護について
完成した油絵は、保護用ニスでコーティングすることで、傷がつきにくくなり、ヤニや埃が付着しても除去しやすくなります。
\保護用ニス(タブロー)/
ちなみに、保護用ニスは6か月ほど寝かせてから塗布する必要があります。
【ニスを塗るタイミング】
◎完成~6か月
指で触れる状態であっても、絵の具の中までは乾燥していません。
油絵は、じっくりと空気に触れることで、乾燥・硬化をするので、この時期にニスで空気を遮断してしまうのはNGです。
塗装面に干渉しないように、風通しの良いところで保管しましょう。
◎完成から6か月以上
絵の具の中まで完全に硬化しています。
この時期になれば、ニスを塗っても絵の具の化学反応を阻害することはありません。
保護用のニスを塗って、可能であれば飾りましょう。
「展覧会にすぐに間に合わせたい!」など、6か月以内にニス塗りをしたいときは通気性のあるニスを使います。
ただし、急場をしのぐためのニスなので、完全乾燥後に普通のニス(タブロー)の重ね塗りが必要になります。
\通気性のある特殊なニス:ラピッドタブロー/
乾燥棚とは?
乾燥棚について
乾燥棚は、出来上がった作品を乾燥させながら保管するための棚です。
トレーやワイヤーの上に乗せるだけなので手間がなく、通気性も抜群なので理想的な保管方法と言えます。
\10号以下の小さいサイズにおすすめの乾燥ラック/
なお、10号~20号クラスになると、金額が跳ね上がる上に個人販売もしてくれない(学校のみ)ので、以下のような画板用ラックを乾燥棚として代用するのがおすすめです。
\本来は画板置きだけど、スペック的に20号以下のキャンバスなら大丈夫そう/
乾燥棚全体のデメリットは、キャンバスを横向きに置いた時と同じだけの床面積が必要なところです。
乾燥棚の自作方法
乾燥棚は理想的な保管ツールですが、とにかく高額で、大きいサイズだと個人購入ができないのも難点です。
\スペック的には20号以上もイケそう!でも、個人販売はしてもらえない/
ということで、20号以上の大きいサイズに対応した乾燥棚が欲しい方は自作するしかありません。
乾燥棚の自作方法について
乾燥棚は、製品の外観を見てもわかる通りシンプルな設計です。
木製なら、ちょっと頑張れば素人でも簡単に作れます。
乾燥棚自作のざっくりとした設計図&作り方を図解します。
わたしは面倒だったので全てネジ止めで木材を繋ぎましたが、皆さんのお好きな方法で組み立ててください。
❶フレームを作る
棚のフレームを作ります。
直方体を作るイメージです。
❷接合部を補強する
接合部は、補強金具で補強してください。
高さがあるので、補強しておかないと軽い地震でも簡単に倒壊します。
❸天板を付ける
保管予定のキャンバスが覆えるくらいの大きさの天板を上部に取り付けます。
ホコリと蛍光灯の光をよけてくれます。
上部を棚として利用した方はしっかり目の天板を使った方が良いですが、見た目や強度を求めないなら養生ボードあたりを使っても良いです。
❹棚を両サイドに付ける
キャンバスをのせるためのバーを両サイドの同じ高さに取り付けます。
同時に保管したい枚数分だけ増設してください。
ちなみに、バーとバーの間隔には余裕を持たせてください。
❹バーの中間に1~2本のサポートを入れる
バーを繋ぐように、サポートの棒を取り付けてください。
密にサポートを差し込んでおくと、小さいキャンバスにも使えます。
➎完成
完成です。
乾燥させたいキャンバスを、2面に設置したバーに乗せるイメージで使います。
だいたい上記のような作り方で作成した完成だながコチラ。
\我が家の乾燥棚&ハンガーラック/
今や、上半分を乾燥棚、下半分をハンガーラックとして使っているのでかなり雑多になっています…。
部屋は狭くなってますが、日常品の収納スペースが増えているので棚を設置したことによる不便は感じません。
自作乾燥棚の費用
乾燥棚の自作コストについて
わたしの作った自作乾燥棚だと、うろ覚えですが材料費1万円以下で出来たと記憶しています。
改めて試算してみても、かなり安い材料しか使っていないので遠からずな値段です。
そこそこよい材料としっかり目の補強金具を使っても、2万円もあれば強固な棚が作れるでしょう。
【乾燥棚 自作 主な材料】
- 木材:180×3×3×10本/180×2×2×10本
- L地金具:16個
- ネジ:適量
ちなみに、細い木材をいきなりネジ留めすると高確率で割れるので、細い穴をあけてからネジ留めするのが、材料を無駄にしないDIYのコツです。
もし自作しよう考えている方は、よろしければ参考にしてください。
自作乾燥棚のメリット・デメリット
乾燥棚自作のメリットとデメリットについて
実際に使ってみて感じる乾燥棚のメリット・デメリットは次の通りです。
◎デメリット
- キャンバスを差し込む方向に作業スペースが必要。
- それなりの床面積を占有する。
- 部屋が暗くなるので、設置位置や照明を見直す必要がある。
◎メリット
- いちいち仮額を設置しなくてよいのでとても楽。
- 棚部分を上部に集中させることで、下段を収納スペースとして利用できる。
- 床から遠いのでホコリがつき難い。
- 通気性がよいのでカビなどの心配がない。
市販の棚だと床面積の占有感がハンパないですが、自作棚ならライフスタイル応じた使い方ができるのでは?と思います。
油絵の保管 まとめ
完成した作品の保管方法は次の通りです。
【作品の保管方法】
- 完成~6か月:直射日光を避け、通気の良いところで保管or展示。
- 6か月~:ニスを塗って以前と同様に保管or展示。
【展示が出来ない場合の積み重ね方】
- 仮額をはめて、塗面が干渉しないように立てかけor積み上げる。
- 乾燥棚で保管する。
スペースとお金さえあれば、乾燥棚が作品の保管に最適なツールです。
特に、完全乾燥までの仮置きには絶大の便利さを誇ります。
難点は、床面積がとられること・高額なこと・大きいサイズは自作するしかないこと…です。
ただ、自作の乾燥棚なら、上部だけを乾燥棚に、下段を収納棚にといったカスタムができるので、設置してもライフスタイルは快適だったりします。
よろしければ参考にしてください。