家庭向けの各種編集ソフトは一般的に 個人利用 を想定したツールになっていて、商用的な利用を認めていません。
【家庭向けソフトに明記されている規約】
家庭向けソフトに、以下もしくは同様の一文が明記されている場合は、「商用」に当たる利用を認めていません。
- このソフトは商用利用できません。
- このソフトは個人的な利用にのみ利用いただけます。
定義や線の引き方について整理してみましたので、疑問をお持ちの方は参考にしてください。
商用利用とは?
商用利用とは?
商用利用とは、収益を生み出す目的で資源や技術を使用することを指します。
一般的に企業、組織、個人がビジネス活動を行う際に発生します。
なお、商用利用にはさまざまな形態があります。
【商用利用の例】
- 製造業者が製品を生産して販売する
- サービス提供業者が特定のサービスを提供して報酬を得る
- 知的財産権(特許、著作権、商標など)を活用して他者にライセンスを提供する
基本的に、市販のツールや素材を使って利益を得る場合は、素材・ツールともに商用利用が許可されたものを使う必要があります。
商用利用の定義とソフトの著作物
編集ソフトに含まれる第三者の著作物について
編集ソフトで商用利用に引っかかるのは、ソフトそのものよりもソフトにプレインストールされている一部の素材が影響することがほとんどです。
【編集ソフトで著作権に当たる部分】
- ソフトの利用そのもの:特に制限なし。
- ソフトに含まれる素材の利用:エフェクト・楽曲・テンプレートなどの合成素材やプログラムに第三者の著作権があり、ソフトメーカーで商用を許諾できない。
ちなみに、プロ向けソフトでは、ほとんどの素材・プログラムは自分で導入する必要があるため、後から導入したものにのみ著作権管理を気を付ければ良いことが多いです。
対して、家庭向けソフトは、大量の素材がソフトにプリインストールされていることが多く、ユーザーが著作権つきの素材と認識しないまま使うケースも少なくありません。
【第三者が著作権を持つことが多い素材 一覧】
- 写真
- 動画
- 効果音
- エフェクト
- テンプレート
- BGM
ほとんどのソフトに「このソフトは商用利用できません」と表記しているのは、ソフト内に商用利用不可の素材が混ざっているから…だと思ってます。
商用利用の定義とソフトの機能
家庭向けソフトでも商用利用が可能な機能と素材について
商用利用に抵触する対象は、ほとんどの場合が素材です。
そのため、基本的な編集機能や、どのメーカーでも実装しているスタンダードな素材については、著作権フリーで利用できるか、使用しても限りなく気付かれません*。
*100%の保証はないですが、汎用素材やエフェクトの判別はほぼ不可能です。
【商用利用が問題ない・問題になり難い機能・素材 一覧例:動画編集ソフト】
- カット
- 結合
- 合成・ミキシング
- フェードインやフェードアウトといった、代わり映えのしないスタンダードなエフェクト
- 早送り・逆再生・手振れといった補正機能
・・・・など。
なお、エフェクト・テンプレート・音源・画像といった素材を使わずに編集するのは作業効率は悪くなります。
品質と制作時間を短縮しつつも商用利用を考えているなら、別途ロイヤリティフリーの素材を購入して利用するのがおすすめです。
商用利用と個人利用の違い
「商用利用」と「個人利用」の違いについて
編集ソフトで気を付けるモノはなんとなく理解できたものの、そもそも作ろうとしているクリエイティブが商用利用か個人利用かを切り分ける基準を理解しておくのはおすすめです
商用利用を、前提条件だけで切り分けることは難しいも場合がありますが、一般的な定義としては概ね次のとおりです。
◎商用利用とは◎
個人、法人に関わらず、収益・収益化を目的としたソフトの利用が明らかであるケース。
商用利用=収益化 と呼ぶこともあり。
◎個人用利用とは◎
個人・法人に関わらず、収益・収益化を目的としない利用が明らかであるケース。
商用利用と個人利用を分けるポイントは次の2点です。
- 収益が発生する・収益化の可能性があるか?
- 上記を目的として制作されたと判断できるか否か?
ちなみに、目的や意思というのは、制作者の本意とは関係なく、総合的・客観的に判断される第三者からの評価です。
- 「収益目的ではない!」といくら言っても、「そうとしか見えない」と判断されてしまう場合もある。
- 「収益目的ですけどなにか!?」の場合も、「目的があるとはいえない」と判断される可能性もある。
また、商用であることを判断するのは難しいですが、個人利用を断定するのは簡単なので、個人利用以外=商用利用(の可能性がある)と考えた方がシンプルです。
ちなみに、一般的に言われる個人利用の定義とは次の通りです。
- 一切の収益と関連付けられない状態や環境であること=個人利用
例えば、アフィリエイトやアドセンスリンクありのURLに関連づけた動画配信などでは、間接的な収益可能性もあるため「商用とみなされる可能性は高い」と思っておくのが妥当な判断と言えます。
【完全に個人利用と言えるケース】
- 完全なクローズド環境での利用。
- アフィリエイトや広告表示など、一切の収益と結びつかない環境での動画共有。
商用利用の規約や事例
ケースで切り分ける商用or個人
昨今では、youtubeをはじめとした動画投稿サイトや、サイト経由の収益発生が一般化してきたことから、商用と非商用の境が微妙なケースが増えたように感じます。
実際、動画編集ソフトのメーカーも、「動画投稿サイト経由の収益なら個人利用として認めるよ…」なんて一文を追加するメーカーも増えています。
以下、ケースによる商用or個人用の切り分けをしてみましたので、よろしければ参考にしてください。
ケース | 商用利用 | 個人利用 | 状況による |
個人の趣味&観賞用 | ● | ||
友人や自分の結婚式・イベントムービーの制作 | ● | ||
ユーチューブチャンネルやブログにアップするための動画編集(広告収入あり) | ● | ||
動画メディア制作&販売 | ● | ||
製品やサービスの販促プロモーションムービー制作 | ● | ||
説明 | 完全に商用利用扱いとなります。 |
個人が楽しむだけなら、使う素材も、表現も自由です。 誰とも共有しないクローズド環境だと完璧です。 |
収益性が全くなければ個人利用としてほぼ認められます。 収益が見込まれる場合は、要メーカー確認です。 |
自分の作品と照らし合わせるときは、以下のコンセプトを洗い出しておくとチェックがしやすいです。
【作品のコンセプトは?】
- 動画を作った目的:収益化 or 個人的な鑑賞
- 共有方法:会場・DVD・メディア・ストリーミング…etc。
なお、商用利用不可のアプリや素材を使ってクリエイティブを作った場合でも、クローズドな環境で視聴したり保管するぶんには自由です。
【商用利用とは判断されない利用方法】
- 一切の利益を得ないムービー制作や上映
- 広告のない個人ブログやストリーミングチャンネルへのアップ
収益性ゼロのウェディングムービーなどは、たとえ公共での上映しても商用利用とはみなされません。
ただし、ウェディングムービーの音源には演奏権やBGM素材の利用権などに対応しないといけない場合があります。
ぶっちゃけ、商用かどうかの解釈は個々のケースごと変わるので、少しでも不明な点があるときは、当サイトの掲載内容も含めて素人判断はせず、必ずメーカーへ問い合わせしましょう。
Youtube・SNSでの収益化と商用利用
Youtube・動画投稿サイト経由の収益化について
長い間、動画編集ソフト業界では、動画投稿サイトへの動画アップについて、「内容や収益性に関わらず商用利用」とみなしていましたが、ユーチューブをはじめとした動画投稿サイト・SNSでの個人利用が一般化してきたことを受け、柔軟な姿勢を見せるメーカーがでてきました。
そして、ついに2019年以降、以下のスタンスを打ち出すメーカーが頻発しています。
SNS・動画配信サイトへ投稿する動画に限り、収益の有無に関係なく商用利用とは見なさい。
※スタンスが変わったメーカーとして、「ワンダーシェア(Power Director)」・「フィモーラ(Filmora)」があります。
\人気×おすすめの動画編集ソフト/
PremierePro | FILMORA | Power Director | Movavi | |
ソフト | ||||
定価 | 28,776/年 | 9,980 | 8,480/年 | 9,900 |
ライセンス | サブスク | 永久・サブスク | サブスク | 永久・サブスク |
公式 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
レビュー | PremiereProの値段 | フィモーラの値段 | PowerDirector 無料 | Movaviの評価 |
商用利用とは? まとめ
編集ソフトで商用利用を制限しているのは、ソフトにプレインストールされている素材やプログラムに著作権があるためです。
基本的な編集プログラム自体には権利問題は発生しないか分からないため、気を付けるべきはソフト同梱の素材のみと言えます。
もし、個人用ソフトを使って商用のクリエイティブを作るなら、編集素ソフトに同梱されているエフェクト・画像・テンプレート・音源は使わず、ロイヤリティフリーの素材を使うと間違いないです。
なお、商用と個人用を分けるポイントは、第三者の目に触れ、かつクリエイティブによって収益が発生する可能性があることです。
商用利用不可の素材とアプリを使いまくったとしても、第三者の目に触れなかったり益性が全く無いのであれば個人利用の範疇と判断されるのが常です。
逆に、僅かでも第三者の目に触れ、そのクリエイティブによって収益が発生する可能性がある場合には、商用利用と判断される可能性があるため、使う素材には注意が必要になることを覚えておきましょう。